ササヤキ彷徨の神殿

千年前のヒット曲

Hits of Thousand Years Ago
2006.04.19-2007.06.22
古今和歌集 — 熱い青春が蘇る、古今東西スーパーヒットセレクション!
「『和歌』っていうけど、別に歌わないよね。学校で習ったときも、読むだけで歌わなかったもん。」

いや、昔は歌ってたんですよ。

「でも、五七五七七の歌詞だけで、は書いてないよ?」

だって、曲は全部アドリブだもん。だからメロディーは残んないの。

ただし、現代の音楽に比べればずっとゆっくりだったでしょうけどね。現代のテンポで五七五七七を普通に歌ったら、あっという間に歌が終わってしまいます。なので、一音一音じ~っくり時間をかけて、歌っていたのでしょう。

「ああいうのって、だいたい即興だったりするんでしょ?」

即興っていうと、二、三秒で思いついたのかな~って感じですが、まあ、中にはそういうのもあるのでしょうけど、きっと「歌いながら考えた」んじゃないかと思います。

一音一音じ~っくり時間をかけながら、「さて、この後どう展開しよう…」と思い巡らせていたのでしょう。

枕詞まくらことばってのがありますけど、あれはきっと、後の展開を考えるための時間稼ぎだったんですよ。でなきゃ、決まりきった言い回しなんて退屈なだけです。

例えば、「光」には「ひさかたの」がつくわけで、これだけで八文字、時間にして…まあ、少なくとも分単位は稼げたでしょう。その間にあれこれ考えることができます。そういう時間稼ぎです。

「ところで、一つの歌がいくつかの歌集に載ってたりするのはなんでだろ?」

「歌集」ってのはつまり、今で言う「アルバム」、それも「コンピレーションアルバム」(既存の曲をいろいろ集めたアルバム)のようなものです。

「メガヒット曲集」みたいな感じね。

例えば、「1980年代のラブソング集」と「1980年代のドラマ主題歌集」みたいなコンピレーションアルバムがあれば、当然、収録されている曲も重なるところが多かったりなんかするわけで、ま、そういうことです。

つまり、現代まで残っているような和歌は、「遥か千年前、巷で大ヒットした流行歌」だったりなんかするわけなのです。

参考文献
[1]. 吉田 幸一「日本語を書くための7つの方法」
Oh!X 1990年9月号 特集「日本語を処理するための序章」
ソフトバンク
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