ササヤキ彷徨の神殿

それってあれね

That's old
2019.03.20,2019.03.22
人間は年齢を重ねると、新たな作品に出会っても、「それって、あれだよね」と、すでに知っているものを当てはめて理解した気になりがちです。

原因は二つあります。

一つは、年齢を重ねることで知識が増え、その分、似たものを見つけ出す引出しが増えるためです。

もう一つは、新しいものを新しいものとして理解しようとするより、知っているものに置き換えてしまう方が、頭を使わなくて済む分、だからです。

脳は、なるべく省エネで済ませようとするらしいです。知らないものを知ろうとするよりも、すでに知っているものを当てはめるだけで完結させる方が、それ以上考えなくて済むので、楽です。それで、自分が知っているものに置き換えて、分かった気になってしまいます。

でも、そうやって「それってあれね」と分かった気になってしまうと、「自分が知らないかどうか」が評価軸になって、作品そのものを感じ取ることができなくなります。

作品の鑑賞は、それ自体、「創造的な行為」です。作品には、作り手の人生が多かれ少なかれにじみ出るものですが、鑑賞にも、鑑賞者の人生が反映されます。鑑賞者の人間性が表れない機械的な評価は、面白みに欠けます。

なので、年齢を重ねても「それってあれね」で済ませることなく、ありのままを柔軟な感性で受け止める方が、魅力的な人物になれそうです。

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