ササヤキ彷徨の神殿

徒花

ADABANA
2004.12.19
雷は、地球に生命が生まれるための一つの要因となりました。

遥か昔、生命が誕生する前の地球。そこには、生命が生まれるために必要な「元素」は揃っていました。

しかし、それらはまだ、生命を形作るのに不可欠な「アミノ酸」になってはいませんでした。

そこにあった物質から「アミノ酸」が生み出された要因の一つとして考えられているのが、「雷」です。

放電によってアミノ酸が生成できることは、実験で確かめられているということです。

は、海面が温められて上昇気流が生じ、水分子同士が摩擦を起こすことで電気を帯び、雲と地球の間の電位差が高まって、放電が起きる現象です。

太古の地球における、次のような過程を考えてみましょう。

  1. 雲と地球の間に電位差のない状態。
  2. 雲と地球の間に電位差発生。落雷。アミノ酸が生まれる。
  3. 放電し切って、再び、雲と地球の間に電位差のない状態。

電気的には、1と3は同じ状態、安定な状態です。

では、2はまったく無意味だったのでしょうか?

落雷という「劇的な変化」は、ほんの一瞬で終わります。しかし、それがもたらした生命の発生という「穏やかな変化」は、遥か数十億年の時を経て、現在へとつながっています。

たとえ、ほんの一瞬のキラメキ、実ることもなく散りゆく徒花にしか見えなかったとしても、それは巡り巡って、何かを生み出す要因となり得ます。

そして、時代は、歴史は、そんな小さな一瞬の積み重ねでできているのです。

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